デザインのためのデザイン その2
- 作者: フレデリック・P・ブルックス Jr.,松田晃一,小沼千絵
- 出版社/メーカー: ピアソン桐原
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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3章
合理的デザインプロセスに対する批判の章
ウォーターフォールモデルやPIMBOKモデルはデザインプロセスの正しい進み方を示しているように見えるが、実際のプロジェクトはそのようには進まない。
理由
1.要件、ニーズはプロジェクト最初の段階ではすべて洗い出すことができないから。顧客は自分が何を求めているのか完全には理解できておらず、仕様が固まるに連れて自分がなにを求めていたのかが明確になってくる
2.プロジェクトが進行し、形が見えてくると、最終的な成果がよりはっきりと理解されるようになり、その理解の結果、自分たちが本当に欲していた成果がわかるようになるから
3.目的・目標を制限する制約条件が変化するから。プロジェクトの初期では制約によりできないと切り捨てたものでも、プロジェクト進行中に変化が起こり可能となっていることがある
では、合理的プロセスが不必要かというとそうではない。
1.合理的プロセス=モデルがメンバ間の共通認識となり、コミュニケーションの触媒となる
2.初心者が横道にそれないように、デザインに取り組む出発点となる
合理的プロセスモデルがあることが問題なのではない。
合理的プロセスモデルを唯一絶対的なものとして、強制されることが問題である。
PMBOKによる標準化、ISOによる標準化は合理的プロセスを信奉しすぎていないか。
デザインは滝が流れるように一直線に進むのではなく、新しいアイデアや状況の変化に柔軟に対応できるよう、螺旋上に進むものだと理解するべきである。